ワザリング・ハイツ ~本館~

Something childish, but very natural.

アメリカ文学

ポール・オースター『鍵のかかった部屋』を読む

ニューヨーク三部作の三作目『鍵のかかった部屋』は、三作のうちで最も内省的な物語だと言ってよい。語り手の幼なじみファンショーをめぐる物語は、語り手自身を徹底的に舞台袖へと追いやり、なんの魅力のかけらもない人間として描きだす。語り手には名前す…

ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』を読む

『わたしのいるところ』は日本語で読み、その後In Other Wordsを英語で読んだ。とても平易な英語で書く作家だとわかり、『わたしのいるところ』のような作品であれば、その効果はこんなふうにうまくあらわれるのか、と興味深く感じた。静かな孤独を描きだし…

シルヴィア・プラスを読む

プラスについて書きたいことが出てきたのでまとめておく。大学時代に卒業論文をプラスで書いた私だが、その頃はプラスの文学よりも先に英語と闘わねばならず、文献もろくにあされなかった苦い思い出がある。ゆえにプラスの海外文献については手持ちのものが…

エミリー・ディキンソンを読む(Margaret Homans 註釈)

エミリー・ブロンテの研究で世話になったマーガレット・ホーマンズ(Margaret Homans)の文献がたまたま眼に入り、そういえばディキンソンについて書いたものが入っていたはずだと読んでみたところ、なかなかおもしろいことが書いてあった。いまの自分の考え…

エミリー・ディキンソンを読む

海外文学に親しみのあるひとなら、原文で読まないとよさがわからない、といった話を一度は耳にしたことがあるだろう。ぴんとこないひとも多いにちがいない。文章にはそもそも、母語の話者でなければ感じることのできない微妙なニュアンスなるもの(としか言…