ワザリング・ハイツ ~本館~

Something childish, but very natural.

イギリス文学

ウィリアム・ブレイク『無垢・経験の唄』を読む

大学生のときに仲のよかった仏文科の友人が、誕生日プレゼントとしてPenguin版William Blake: Selected Poemsをくれた。とてもうれしかったのだけれど、結局私はそれをまともに読むことなく――すんなりと読めるほどやさしい英語ではなかった――棚にしまい、そ…

アルフレッド・テニスン『イノック・アーデン』を読む

荻窪の一角で朗読を聞いた夜のことは今でもよく覚えている。公開朗読の台本用に訳した『イノック・アーデン』は、鬼気迫る朗読者の演技に力を吹込まれて、美しく感動的な響きを伴ったものとなった。あの晩に朗読を聞けたのは本当に幸運だったと思う。その後…

エミリー・ブロンテ『嵐が丘』を読む

『嵐が丘』(Wuthering Heights)である。かなり長いあいだ距離を置いてきた小説であり、いまだ読むたびに首をかしげる小説であり、私をブロンテの沼にひき込んだ運命の一作でもある。これがおもしろいかと問われれば、いやそれはどうだろうか……と思わず答を…

『エミリー・ブロンテ全詩集』を読む

ブロンテ家の住んだ村ハワースは、リーズから電車で20分ほどのキースリー駅から、さらに20分ほどバスで丘をのぼった先にある。この場所を訪れるために私はリーズという町を留学地に選んだのだが、広大なハワースの荒野は想像以上で、丘と丘とが眼の前で互い…

メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を読む

メアリー・シェリーとの出逢いは、精確に言えば『フランケンシュタイン』との出逢いは、今から10年ほど前にさかのぼる。英語で古典を読切るのは今もなお苦痛であり、信じられない苦労を伴うものだけれども、この作品だけはまったく苦にならなかった。毎週課…

アンナ・カヴァン『氷』を読む

アンナ・カヴァンがヘロインと共存した女性だというのは有名な話である。毎日決まった時間に一回、自分でヘロインを注射する。中毒者にはちがいないが、彼女は薬と共存していると医者は言い、治療よりも現状維持を勧めたというのだから驚きである。 The Guar…

メアリー・シェリー「マチルダ」を読む

私のなかでの英文学史上最高傑作『フランケンシュタイン』を生みだしたメアリー・シェリーが描く、こてこてのロマン派小説。父と娘の近親相姦“的な”感情と、自殺を主題として扱った短篇小説である。これが非常によかった。 自殺の主題について、まずはゲーテ…