ワザリング・ハイツ ~本館~

Something childish, but very natural.

イギリス文学

『キャスリーン・レイン詩選集』を読む

Who am I, whoSpeaks from the dust,Who looks from the clay? Who hearsFor the mute stone,For fragile water feelsWith finger and bone? ("Self") 私はだれなのだろう、こうして 塵から語り、 土から見るこの私は? 沈黙する石に代わって、 はかない水に…

ヴァージニア・ウルフ『燈台へ』を読む

19歳の私をとらえ、その後を大きく左右した一作は、ヴァージニア・ウルフの『燈台へ』である。フランス文学と英文学のどちらの道に進むか悩んでいたおり、ふと手にとったこの小説を読んで、私は英文学の道へ進んだ。特別な理由があったわけではなく、もちろ…

ウィリアム・ブレイク『無垢・経験の唄』を読む

大学生のときに仲のよかった仏文科の友人が、誕生日プレゼントとしてPenguin版William Blake: Selected Poemsをくれた。とてもうれしかったのだけれど、結局私はそれをまともに読むことなく――すんなりと読めるほどやさしい英語ではなかった――棚にしまい、そ…

アルフレッド・テニスン『イノック・アーデン』を読む

荻窪の一角で朗読を聞いた夜のことは今でもよく覚えている。公開朗読の台本用に訳した『イノック・アーデン』は、鬼気迫る朗読者の演技に力を吹込まれて、美しく感動的な響きを伴ったものとなった。あの晩に朗読を聞けたのは本当に幸運だったと思う。その後…

エミリー・ブロンテ『嵐が丘』を読む

『嵐が丘』(Wuthering Heights)である。かなり長いあいだ距離を置いてきた小説であり、いまだ読むたびに首をかしげる小説であり、私をブロンテの沼にひき込んだ運命の一作でもある。これがおもしろいかと問われれば、いやそれはどうだろうか……と思わず答を…

『エミリー・ブロンテ全詩集』を読む

ブロンテ家の住んだ村ハワースは、リーズから電車で20分ほどのキースリー駅から、さらに20分ほどバスで丘をのぼった先にある。この場所を訪れるために私はリーズという町を留学地に選んだのだが、広大なハワースの荒野は想像以上で、丘と丘とが眼の前で互い…

メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を読む

メアリー・シェリーとの出逢いは、精確に言えば『フランケンシュタイン』との出逢いは、今から10年ほど前にさかのぼる。英語で古典を読切るのは今もなお苦痛であり、信じられない苦労を伴うものだけれども、この作品だけはまったく苦にならなかった。毎週課…

アンナ・カヴァン『氷』を読む

アンナ・カヴァンがヘロインと共存した女性だというのは有名な話である。毎日決まった時間に一回、自分でヘロインを注射する。中毒者にはちがいないが、彼女は薬と共存していると医者は言い、治療よりも現状維持を勧めたというのだから驚きである。 The Guar…

メアリー・シェリー「マチルダ」を読む

私のなかでの英文学史上最高傑作『フランケンシュタイン』を生みだしたメアリー・シェリーが描く、こてこてのロマン派小説。父と娘の近親相姦“的な”感情と、自殺を主題として扱った短篇小説である。これが非常によかった。 自殺の主題について、まずはゲーテ…