ワザリング・ハイツ ~本館~

Something childish, but very natural.

ドイツ文学

フランツ・カフカ『審判』を読む

「カフカは、作家たちのなかでも、おそらくいちばんずるい作家だろう」と書いたのはジョルジュ・バタイユであった。カフカを焚書にすべきか、共産主義者のあいだで議論になったというのは私も知らなかったのだが、カフカの文学自体があいまいで摑みどころの…

パウル・ツェラン『閾から閾へ』を読む

東日本大震災から一年、と銘打って『パウル・ツェラン詩文集』が刊行されたと知り、戦争という体験をこのように転換してとらえたりするのか、と驚いた。今の日本で戦争や内紛、テロといった非情な事象を理解しようとするならば、それは人間を無慈悲に絶望の…

多和田葉子を読む

多和田文学を考えるうえで、非常に参考になるよい記事がいくつか見つかった。あとで参照する意味も込めてここに残しておきたい。 urotado.hatenablog.com www.newsdigest.de magazine-k.jp www.nikkeyshimbun.jp lithub.com ⇒多和田葉子『飛魂』を読む - ワ…

イルマ・ラクーザ『ラングザマー』を読む

ゆっくりと生きるための本であり、ゆっくりと生きる場面に本と文学の風景を見た、ラクーザの洞察が光る名著である。本のための本と言えば思いつくのは、『ヘッセの読書術』であったり、『時間のかかる読書』、『冬の夜ひとりの旅人が』、松岡正剛の著作くら…

多和田葉子『飛魂』を読む

多和田の文学について書いたのはもう五年近くも前になるが、そのときに指摘したのは、言葉のもつ不確かな性質、あいまいさについてであった。それはたとえば、「つくえ」という物体をあらわすとき、「机」と「desk」のどちらの方が“より「つくえ」らしいか”…

多和田葉子 「ゴットハルト鉄道」を読む

多和田葉子がすごい作家だというのは経歴を見ても一目瞭然だが、彼女の作品をいったいどのように読もうか?と考えた時、ようやく彼女の本当の魅力が理解できたような気がする。これはあくまで個人的な体験だけれども。いずれにせよ、国内での評価も然ること…