ワザリング・ハイツ ~本館~

Something childish, but very natural.

柄谷行人『日本近代文学の起源』を読む

柄谷行人日本近代文学の起源』についての記事を本館に移しました。

kandliterature.hateblo.jp

とるにたらないありふれたものが新たにいきいきと見えてくる不思議が独歩の描く描写にはある。歴史的意義をもっていた風景がその歴史性を失うことで、新たにその風景に別の意義を“求めざるをえなくなる”ため、平凡なものが意味深いものとして再発見されたのだと、柄谷は指摘する。つまりは、こうしてつくりだされた作為的な、後づけの意味が、その対象が先天的に含みもったものと解されてしまうという、認識の転倒が起こったのである。「どうでもよいような人々が“忘れえぬ”もの」となったのは、独歩が彼らに風景としての意味を新たに見出したからであり、それを潜在的に具わったものとするのはおかしい、と柄谷はこれを批判する。